【イスラエル旅】パレスチナ自治区ベツレヘムで感じた若者の「日常」(中東中米旅#9)
女子学生たちの会話は、止まらない。おしゃべりのふしぶしで、ヒソヒソ話がはじまったり、スマホを手に取り“自撮り”に夢中になっている。かれこれ1時間、放課後のガールズトークはノンストップで続けられている。
日本やイスラエル、そしてパレスチナ自治区でも、カフェでは同じような光景が広がっている。
ベツレヘムの町をひと通り見て回り、最後に「ベツレヘム大学」へ向かった。車が出入りできるような大きな門は閉ざされていて、その脇にある一人分の大きさの出入り口だけが解放されていた。「ヒジャブ」で頭髪を覆ったムスリムの女子学生たちにまぎれて入ろうとすると、ぼくを止める以外に特にやることがなさそうな高齢の警備員たちに止められた。
「Hey~、Stop~」
彼らは座ったまま(立ち上がる気はいっさい無さそうだった)、ぼくの様子をうかがっていた。彼らの様子を見て「これはイケる」と思った。こういうとき、魔法のフレーズがある。
「I’m a student」
ポイントは、「自分はこの大学に興味がって、はるばる日本から訪れた学生です。少しで良いので、中をのぞかせてはくれないだろうか」という意味も含ませて伝えること。そして、手にはノートとペンを持っておくこと。
「Oh…Just 5minutes」
大理石でできたホテルのようにきれいな校舎の中では、学生たちがそれぞれの昼休みを過ごしていた。階段に座って本を読み、ベンチでお昼を食べ、久しぶりに会った友達に抱きついて騒ぎあう。そこには、東京の四谷キャンパスで4年間みてきたものと変わらない学生生活があった。
きっと、15分くらい見学しても問題なかったのだろうけど、あまりにもぼくがそのキャンパスにいることが不釣り合いだったので、ぴったり5分でキャンパスを出た。そして、隣にあったカフェで昼食をとっていると、そこでもまたぼくの知っている学生生活がくり広げられていたのである。