【イスラエル旅】テルアビブの東地中海から感じた「距離感」(中東中米旅#2)
旅先では、できるだけ疲れたくない。ぼくは、このたいへんワガママな希望をもって、いつも旅に出かけている。今のところその希望を叶える方法は、旅先でも「いつもどおり過ごす」ということだと思っている。イスラエル2日目の朝も、いつものようにランニングにでかけた(ぼくは毎朝走ることを日課としている)。
リゾート地の雰囲気で、道も綺麗に整備されたビーチ沿いには、日の出前にもかかわらず犬の散歩やジョギングをする人がいた。それに、地元のおっちゃんたちが忙しそうに釣りをしていた(この光景は日本と変わらない)。朝日を横目に走っていると、ふと初歩的な疑問がうかんだ。
「この海って、何だっけ?」
ホステルに戻ってすぐにGoogle Mapsを開くと、さっきまで自分は「東地中海沿い」を走っていたことが分かった。言われてみれば当たり前というか「まぁそうだよね」くらいの発見だったのだけど、同時にようやく自分と中東との距離感をつかめた気がした。
ぼくの中東という地域のイメージは、小学校低学年の頃(2000年代はじめ)によく目にしていたNHKニュースの中のものだった。そこでは、真面目そうなオジサンが「現地からは以上です」と、現地の政治情勢を何かが差し迫っているかのような表情で伝えていた。ぼくの中東に対する距離感というのは、そこから形作られたことによって、けして身近なものではなくむしろ果てしなく遠いものとなっていた。
ところが、テルアビブは地中海に面しているのである。つまりその先には、イタリアやスペイン、モロッコといったぼくにとって「身近」な国々が並んでいる。それらの国から眺めた海が、このテルアビブにも通じているのである。これらの事実を実感したことによって、やっと地図上の中東とぼくのイメージとしての中東が重なった。この果てしなく遠いと思われがちな地域は、日本と欧州の間、その名の通りMiddle Eastの場所にしっかりとあるらしい。
2018年2月10日 テルアビブ Abraham Hostel