【イスラエル・キューバ旅】チェ・ゲバラのTシャツと聖書でイメージした、イスラエルとキューバという国(中東中米旅)
物心がついたころには、イスラエルとキューバが「身近」にあった気がする。
ぼくは、中学1年生のころにはじめて聖書を手にした。それはとても外発的な理由で、たんにカトリック系の私立中学校に入学したからである。結局、その聖書をほとんど開くことなく中高6年間を過ごしたけれど(むしろ、大学生になってから読みはじめた)、学校の正面玄関にドンボスコの銅像があるような環境に身を置いたことによって、自発的ではないにせよ普段から「宗教」を感じながら生活することになった。
そして、エコロジストである父は、ぼくが月に何度か行われる朝礼がわりのミサに参加することを余儀なくされた時期に、キューバの革命家チェ・ゲバラの肖像が大きくプリントされた真っ赤なTシャツを好んで着ていた(父は、1990年代後半にキューバを訪問していたのでその当時の写真をよく見せてくれた)。
キリスト教を信仰する学校に身を置き、チェ・ゲバラを信仰する父(正確には、信仰していたかどうかは分からない)がいたという状況は、「イスラエル」や「キューバ」という言葉を常にぼくの頭の片隅に忍ばせていたのである。そして、いつしかその言葉は徐々に大きくなり「いつか行ってみたいな」という思いへと変化していた。
ついに、出発の時がきた。
⚫︎いま見ておくべき国へ
これから、イスラエル・メキシコ・キューバの順に1ヶ月の旅に出る。大学生最後の長期休暇だけれど、行き先は迷うことなく決まった。個人的な思いから、「いま見ておくべき国」に行くことにした。
⚫︎これまでのキューバが変わるらしい
『1959年のキューバ革命以来続いた対立の歴史において、大きな転換点になると期待されている』(2016年3月21日BBC)
2016年3月20日。オバマ米大統領(当時)は、現職の米大統領としては88年ぶりにキューバを訪問した。ぼくが目にした多くのメディアでは、『対立していた米国とキューバの関係性が転換点をむかえている』ということを論じていた。それらを読んで「へぇ~仲良しになるんだ~」となんとなく思っていたのだけれど、同時に良くも悪くもアメリカ資本がキューバへ流入するので「これまでの牧歌的なキューバは今しか見ることができない!!」といった議論も起こっていた(当時、そこそこ多くの人が急いで航空券を購入しキューバへ行っていた)。
当時、すぐさまキューバへ行けるほどの行動力も貯金も無かった(借りてでも行くべきだったのかもしれない)ので、結果的にはオバマ訪問から2年後に行くことになった。でも、その歴史的な流れがあったからこそ「いつか行きたい」から「いま行かなきゃ」という考えに変化したのだと思う。
奇しくも、イスラエルに「いま行かなきゃ」と考えるようになった理由も米大統領のニュースが関係している。
『(トランプ米大統領は)エルサレムではユダヤ教の聖地「嘆きの壁」を現職の米大統領として初めて訪れ、オバマ前政権で冷え込んだイスラエルとの関係改善を強調~』(2017年5月23日朝日新聞)
2017年5月22日。トランプ米大統領は、初外遊でイスラエルを訪問した。このニュースもまた、多くのメディアで取り上げられていた。
このニュースを知ったときに、ぼくの中でキューバとイスラエルへ行くことが決まった気がする。それは、政治的な関心というよりも、アメリカとの関係性が「特殊な」ふたつの国々を同時に訪問すると、どんな発見ができるのだろうといった、好奇心のようなものだと思う。
ひとつの旅の中で、大きな枠組みでは共通するけれど根本的には違いのあるものの両方を見ることは、それまで知らなかった新しい感情が生まれることに繋がる。ここ数年でアメリカの大統領が訪問しているイスラエルとキューバに行くと、どんな「感情」が生まれるのだろうか。10年以上も前から、「身近」に感じていた国に行ける日がやってきた。
2018年2月8日 成田空港第1ターミナル