違和感を大切に

 

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 コンビニ店員の接客態度の悪さに驚いた。ふと名札に目を向けると、そこには東南アジア系の名前が見えた。「外国人の店員さんか。それなら(接客が丁寧でなくても)仕方ないな」と思い、お店の接客指導にクレームをつけることもなく(これまでクレームなんてつけたことはない、と思う)、その場で納得しお店を出た。

 モヤモヤ。お店を出てすぐに、何かしらの違和感が生まれた。「違和感様、あなたはどこからやってきたの?」。どうして彼(あるいは、彼女)が僕のもとへ突然やってきたのか分からなかった(違和感はいつも突然やってくる)。立ち止まって考えていると、違和感の原因が分かった。どうやら、僕は自分自身の考え方に違和感を抱いたらしい。

 そもそも、なぜ僕は店員さんの接客態度に疑問を抱いたのだろう(店員さんは、ちゃんと会計をしてくれたし、お釣りもちゃんとくれた)。たぶん、僕が態度の悪さに対して「これは良くないな」と思ったのは、相手の目を見る・お釣りは両手で渡す・愛想を良くするなどといった、多くの日本人が無意識のうちに共有しているであろう(たぶん。)日本における接客基準(接客する側が最低限守ってくれるであろう態度の基準)を、判断基準としていたからだと思う。

 よくよく考えてみると、ドイツ・ミュンヘンのスーパー店員は買ったばかりの卵を全部割ってしまった直後くらい不機嫌で不愛想だったし(椅子に座ってレジ打ちしているし)、イタリア・ナポリの売店員は音楽のビートに乗るついでに接客していた(ハミングもしていた)けれど、海外で接客を受けた時は店員の態度がなんであれ少しも「なんだ、この態度は!」なんて思わなかったし、むしろたまにお釣りをちょこまかす方もいらっしゃるので「ちゃんと会計し、ちゃんとお釣りをくれればそれだけでVery Good」だと思っていた。

 それに、店員が外国人だから接客態度が悪くても納得したというのも、よくわからない論理だと思う。なぜこのように僕が考えたのかはよく分からないけれど、頭のどこかで「日本人の接客は世界一繊細で丁寧なのだ、ワッハッハ」と勝手にクールジャパンを気取っていたのかもしれないし、これまで海外で受けた接客の経験から「外国人が求める接客サービスと日本人が求めるソレには違いがあるのだから、日本で接客をする外国人はその価値観のズレに気づくのが大変なのだろう」なんて日本人としてのオモイヤリ・オモテナシ精神を勝手に押し付けてしまったのかもしれない。

 いずれにせよ、突然やってきた違和感様は、こんな理由が原因となって生まれたのだと思う。ここまで読んで気づいた人も多いと思うけれど、この長い話に結論はありません(結論に至れないのが、僕の能力的な課題です)。単に、コンビニ店員の態度を疑問に思ったけれど、その疑問に思う事自体を疑問に思っちゃった、っていう話です。理論的な結論にたどり着かなかった点を大きく棚に上げて言うと、このような生活の中で生まれる違和感を大切にする事が大事だと思っています。

 「店員さんの悪い態度に対する違和感」を、怒りと共に吐き出してしまうのではなく、じっくり検討してみる(僕の場合、検討と言うには、あまりに浅い思考力ですが)ことって、必要なのではないかと思います。結論は出なくとも(たまに、何かの発見をする事はあります)、ボーっと考えてみることによって、必然的に時間は流れ瞬時の怒りも消えていきます。もしかすると、生まれ育った環境や文化的な背景が、あの店員さんの接客態度の質と関係しているのかもしれません。そうなると、あの店員さんの出身はどこなのだろうかとか東南アジア系ぽかったけど東南アジア行きたいなとか、全くどうでもいいことまで考えてしまいます。そこまでくると、あとは簡単です。「まぁ、あの店員さんにも色々あるんだな」といった、南国の海岸で目をトロンとさせながら平和的に空を見上げているような気持ちになります。時に、それくらいの気楽さで過ごしてみるのも良いのではないかと、僕は思っています。

 

 さて、「私も違和感を大切にしてみよう。なんか面白そう」と思ってくれた人がいるのであれば、とても嬉しいです。記事を書いてよかったなと思います。ありがとうございます。

 ですが、「今回の記事に対する違和感」を大切にしてしまった人はこう思うでしょう。

 

「松本は違和感についての持論を盾にして、実はネチネチとコンビニ店員の接客態度について愚痴りたいだけだ!そういう部分(性格)、超違和感!!」

 

 違和感を大切にする人が増えれば、少しはゆったりとした優しい社会になるのではないかと思っていました。しかし、どうでしょうか。それはそれで、厄介な社会になってしまいそうな気もします。

 

 

 次回から、2014年夏に行ったアメリカのお話です。まさに、違和感だらけの旅でした。