【台湾一周自転車旅】車城で早朝に連れ出された理由は、台湾人サイクリストの「やさしさ」だった(Day4)
【台湾一周自転車旅】台東の海岸沿いの景色は、慣れ親しんだ宮崎・日南海岸のようだった(Day3)
台東の街を抜けると、そこは「日南」だった。
【台湾一周自転車旅】台湾・花蓮から台東の自然を走り抜けて感じた「父の思い」(Day2)
自転車旅では「自分との闘い」に勝っているはずなのに、睡眠欲求を主張する自我には勝てない。今日は、そんな朝を迎えた。予定よりも2時間遅れの7時過ぎに、花蓮のホステルを出発し、台東を目指した。
【台湾一周自転車旅】台湾・宜蘭を一望できる峠の先にある「自転車旅の醍醐味」(Day1)
【台湾一周自転車旅】台北からスタートする「環島」の始まり。距離は約900キロ(Day0)
【台湾一周自転車旅】高校生からのとあるメッセージで決まった、台湾自転車旅のテーマ
明日から始まる「台湾自転車旅」のテーマを考えていた時、高校生からあるメッセージが届きました。
「アメリカの大学は、どんな感じでしょうか?」
送り主は、宮崎県の高校生。以前、学校で開いてもらった僕の授業に参加していた男子高校生でした。彼は、今年の夏に学校の研修でフィリピンへ行ったということもあり、漠然と「海外の大学」への興味を抱き始めた様子です。そして、たまたまSNSで繋がっていた現役大学生(というには、いささか老け顔だけれど)の僕にメッセージを送ってみたようです。
●「ごめん、知らない」
僕のことを思い出して連絡をくれたのは嬉しかったけれど、返信に困ってしまいました。なぜなら、僕は人に語れるほど長期的な留学経験がなく、僕自身も「アメリカの大学って、どんな感じなのだろう」と思っているくらいだからです。
とはいえ、後輩の質問に答えないわけにはいきません。苦し紛れの策として、海外に住む日本人留学生のブログを紹介し、「これを読めば、なんとなく分かるはず…」と返信しました。彼は「わかりました、ありがとうございます」と言っていたけれど、どこか腑に落ちない様子。後輩の素朴な疑問に、ちゃんと返答できなかった自分に落胆していると、ふと思いました。
「この不甲斐なさを、台湾旅のテーマにしよう」
●「海外の大学」について発信しよう
今回のテーマは「台湾の大学×日本人学生」です。台湾を自転車で旅しながら、台湾の大学へ通う数名の日本人学生にインタビューを行い、このブログで記事化する予定です。
「海外で学ぶこと」が身近になっている現在、アメリカやイギリスなど西欧諸国だけでなく、アジア地域の「大学」に関心を持っている人もいるはず。後輩の質問には答えられなかったものの、今の自分にできることは台湾の大学について発信することなのではないでしょうか。そんな経緯から、今回のテーマが決まりました。
僕自身も、日本の高校を卒業後、国内ではなく海外(それも、台湾)の大学へ進学した同世代たちが、なぜその選択をしたのかにも興味があります。また、去年の5月に中国・上海と南京の大学を訪問した際、日本の大学に通う僕たちとは異なるライフスタイルで生活している現地の学生たちの話が、とても面白く興味深かったのを覚えています。
まずは、この2週間で旅についてだけでなく、台湾の大学についても発信していきます。そして、これを機に帰国後も「海外の大学」についての情報を発信できれば良いなと思います。それについては、後日考えていくことにしましょう。
では、台湾自転車旅のスタートです。
【台湾一周自転車旅】台湾行きを決めた日
ANAで5万6千円。
JR東北本線福島行の電車に揺られながら、スマホに映る「決済」ボタンをみつめていました。出発が2か月後の羽田~台湾便の航空券は、時間がたっぷりある大学4年生のバイト代で生活費に支障なく購入できる額でした。「決めた、次は台湾だ」。何かをこんなにも即決したのはいつぶりだったでしょうか。自分の進路がどうなっているか分らない空白の2か月後に、自ら予定を組み込んだ瞬間は、不安よりも旅を決めた時に生まれるいつもの高揚感でソワソワしていました。
- 女川からの帰り道
8月中旬に、宮城県女川町へ行きました。現地で開かれた詩人・高村光太郎の詩の朗読会で『道程』を朗読した体験。女川の人々が未来へ向けて日々「動いている」様子。ゼロから生まれ変わりつつある町を歩いたこと。女川で過ごした日常が、僕の中で消えかけていた熱意に再び勢いを与えてくれました。
4月に就職活動戦線から離脱して以来、モヤモヤとした日々を過ごしていました。そんな僕を女川での体験が励ましてくれます。
「僕の前に道はない」。初めて人前で朗読した、詩『道程』の一節。「私は、来年もその先も続けます」。失われかけた日常を取り戻すために朗読会を毎年主催する女性の言葉。それらの言葉を聞いていると、モヤモヤとした日々から抜け出す手段が見えてきました。
「動かなきゃ」
- 原点は「旅」
僕の前に道はない。次にこのような一節があります。
「僕の後ろに道は出来る」
僕の後ろに道を築いてきたものはなんだろう。鈍行列車に揺られながら考えていました。何度考えても、たどり着く答えは同じです。「旅」しかありません。就活を失敗したからといって、引きこもっていては何も変わりません。むしろ、挫折した時だからこそ積極的に動かないといけないのでしょう。正直、そんなことはずっと前から気づいていました。ただ、ずっと動けぬままでした。腰をあげるのが怖かったのかもしれません。周りの目が気になっていたのかもしれません。それらの不安要素の全てを、女川での体験が吹き飛ばしてくれました。
- 発信力と共有力のある旅にしよう
航空券を購入した瞬間、僕の2か月後の予定が決まりました。4月以降、進路も決まらず先の予定も特になくフラフラしていました。そんな不安定な生活に、台湾行きの往復航空券が終止符を打ってくれました。
「どんな旅にすれば面白いだろう」
今の自分から脱却するためには、これまでの旅をグレードアップしなければいけないなと思いました。そこで、今回は「発信力」と「共有力」に力点を置いて旅をします。僕は、自分の何気ない行動が価値を生むことができれば良いなと日々思っています。自転車旅・台湾編も、僕の何気ない旅ですが、それをSNSやブログで発信し旅の体験を多くの人に共有してもらうことによって、何らかの価値が生まれると面白いなと考えています。
とはいえ、どうすれば他者から見て面白い旅になるのか、どうすれば僕の色を旅に着色できるのか分かりません。ただ、少し先に旅が待っているという、この高揚感は久しぶりです。少しずつではありますが、道のない僕の未来から道しるべとなる明かりが見えてくる気がしています。